ご存知のようにわが国では少子高齢化が進み、全国では75歳以上の高齢化率が27%を超え、ここ鹿児島県では30%、48万人を超える状況です。
この地域でも年をとって病気になったり、一人暮らしを続けることが難しくなったり、地域とのコミュニケーションが少なくなってきたりすることが多くなってきているように感じます。
この問題に対して行政が中心となって医療、介護の分野で大きな枠組みを決め、それに基づいて地域の医療機関、介護事業所、長寿あんしん相談センター、地域のコミュニティなどが一人一人のご高齢の方に対応しています。
超高齢者社会に向けた我々の取り組みについて
高齢者の健康を維持する、健康寿命を保つことが大切な課題です。私どもの法人でも医療の面から病気の早期発見、治療に取り組み、介護の面から「その方らしさを大切にした」日常生活のサポートを行って参りました。
・植村病院、城山老健施設、介護事業所出会い坂を同敷地内に併せ持つ強みを生かして多職種連携を強化して取り組んでいます。
・さらに本年4月からは鹿児島大学の医学生を受け入れ、学生教育を行いながら自らもさらに学びを深めていきます。
・また垂水中央病院・鹿児島大学病院 老年病専門研修プログラムの研修施設http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~intmed1/program01/program01.htmlとして老年病の診療、教育に参加していく予定です。
ご高齢の方がおられるご家族の皆様へ
ご高齢の患者様の全体的な状態を把握するうえで高齢者総合的機能評価(CGA)があります。 主に認知機能、日常生活動作レベル、うつの状態を評価し、これからに活かしていくことが期待されます。
具体的にはご家族からみて
日常生活動作レベル: 散歩やグランドゴルフなど外出しているか?交通手段は何を使っているか? 入浴やお手洗いはどうしているか?
意欲、うつ: あいさつやお出かけなどすすんで何かをしようとすることがみられるか? ふさぎこんで一人お部屋の中にいることが多くなっていないか?
認知機能: 同じことを何回も聞くことはないだろうか?
を聞いてみてください。
フレイル frailty について
フレイルとは1968年にO’Brein らが提唱した概念であり、現在では加齢に伴う様々な臓器機能の低下によって外的ストレスに弱くなり病気になったり、その回復力が落ちたりする状態を意味します。
具体的な評価項目には
・体重減少(6か月で3㎏以上減少していないか?食事は摂れているか?)
・易疲労感(いつもの表情と比べてどうか?)
・身体活動低下(外出はしているか? 最近転倒したことがあるか?)
・歩行速度の低下(横断歩道を赤信号になる前に渡り切れるか)
・握力低下
・記憶力低下(5分前のことを思い出せるか? 薬の飲み忘れがないか?)
があります。
該当する項目が多いと死亡リスク、転倒リスク、要介護リスクが高くなることが知られています。 健康寿命を維持するために状態を早期に把握し、予防できないかという取り組みが世界中で行われています。
文責 植村 健 http://www.koseikai-uemura.jp/