γGTP 値の上昇について

健康診断でγ-GTPが高いといわれた方に解説致します。

 

胆汁(消化液)の流れ

最初にγGTP と関連の深い胆汁の流れについて説明します。 消化を助けるための胆汁は肝臓の細胞で作られ、肝内胆管(肝臓の中の胆管)を通って胆嚢に一時的に貯められます。我々が食事をすると胆嚢が収縮し、貯められていた胆汁は総胆管を通って十二指腸へ排出され、消化を助けます。

 

γ-GTP とは

γ-GTP は Gamma-glutamyl transferase の略語で、肝臓、胆管、胆汁に含まれる酵素のことです。基準値は計測する機関により多少異なりますが、男性で 70 (U/L) 以下女性で30 以下が目安です。健康診断の採血の項目にもよく取り入れられています。

肝臓もしくは胆管が障害され時に γ-GTP が上昇します。 γ-GTPの上昇が見られる代表的な疾患を以下に列記します。

① 肝臓の障害:アルコール、薬剤の副作用、脂肪肝、肝細胞癌、急性肝炎、肝硬変

② 胆管の障害:ALPの上昇を伴うことが多いです。胆管細胞癌、胆石症、胆管炎

γ-GTP 上昇のみで疾患を特定することはできませんが、他の採血項目と組み合わせることによって疾患の有無や診断に近づくことができます。もしγ-GTPの上昇が認められたら、その原因について早目に検査をしていくことが大切です。代表的な検査に腹部超音波検査(腹部エコー検査)があります。肝臓や胆管の描出に優れ、被曝がなく、安全に検査できる利点があります。

脂肪肝についてのトピック

γ-GTPが上昇する代表的な疾患に脂肪肝があります。最後はメタボリックシンドロームとも関係のある脂肪肝についての話題です。 脂肪肝から肝炎を起こす非アルコール性脂肪肝炎(NASH nonalcoholic steatohepatitis )が重要視されるようになってきています。 肥満や食生活の改善が是正されないと2割近くが肝硬変となり、そして肝細胞癌に進展すると報告されています。 もし脂肪肝と診断されたら、悪化する前に体重、食生活、運動を一度見直してみてください。

参考資料

1. http://www.fatty-liver.com

2. NASH・NAFLDの診療ガイド 2010

文責 植村 健 http://www.koseikai-uemura.jp/

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