子供の新型コロナウイルス感染症について 小児多臓器系炎症症候群、川崎病の関連

 

感染が流行し始めた当初子供の新型コロナウイルス感染は大人に比べてかかることが少なく、また重症化することも少ないという報告が多くみられていましたが、その後子供も大人と同じように感染し、ウイルスを排出する報告が相次いでいます。

たとえコロナウイルス感染の症状が軽症であったとしてもその後に続く小児多臓器系炎症症候群 Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) という命にかかわる疾患や川崎病との関連も指摘されています。

子供のコロナウイルス感染症についてみていきましょう。

 

 

 

 

 

症状と所見

発熱のほか、咳嗽、肺炎、咽頭痛などの気道症状、下痢、嘔気嘔吐、腹痛などの消化器症状など大人と変わりはありませんが、喀血、嗅覚障害の報告はありません。コロナウイルスによる嗅覚障害はよく知られていますが、子供が上手に嗅覚を表現できないからまとまった報告があがってこないとも言われています。

重症化するリスクが高い併存症は大人と同様に高血圧、糖尿病、腎臓病、HIV、喘息などです。

急速に呼吸状態が悪化する ARDS(急性呼吸窮迫症候群)は発症から約1週間で起こると言われています。年齢とともに重症化率は少なくなり3歳未満は感染すると10.6% が重症化するのに対して16-18歳は3% です。

重症化にみられる採血所見ではリンパ球減少を伴う白血球減少、血小板減少、貧血を認めるとのことです。また大人にみられる心筋障害を示すトロポニンT の上昇や筋肉融解を示すCPKの上昇は子供にはみられないようです。

一般的には子供にはX線被爆や診断の感度を考えて胸部CTは撮影しないことが多いですが、肺炎の状態を把握するために、他の呼吸器感染症と鑑別するために有用であると考えている医師もいます。

 

 

 

 

SARS (Severe Acute Respiratory Syndrome) からの報告

同じコロナウイルスの仲間であるSARS は2002年広東省で発生し、香港を通して世界に拡大したと言われています。SARSでは3つの報告から計41人の子供の感染がありました。大人よりも症状が軽く、死亡例は報告されていません。症状は発熱が 9 割以上に見られ、続いて筋肉痛、鼻炎、咽頭痛、咳嗽、呼吸苦、頭痛、嘔吐、腹痛、下痢がみられました。感染者の子供の5-8割が家族内に他に感染者がいました。やはりSARS事例でも子供は大人に比べて軽症のことが多いようです。

 

 

 

子供から他人への感染はどのくらいあるのか?

学校から地域へ感染が広がっていく状況について世界からの論文報告をみてみましょう。

2020年3月オーストラリアの 15学校から生徒 9名、教師 9名の新型コロナウイルス 感染者が確認され、濃厚接触者生徒 735名、教師128名への二次感染がないかどうか調べた報告です。

COVID-19 in schools – the experience in NSW

Prepared by the National Centre for Immunisation Research and Surveillance (NCIRS)

 

(緑;生徒、青;スタッフ)

結果です。二次感染者は 全体で 2名のみでした。高校 10校(上図左側)では身近に接していたクラスメートへの1名の報告があり、小学校 5校(上図右側)では先生から生徒へ感染した1名のみでした。生徒から先生への感染は確認されませんでした。上の図から学校内での感染拡大はあまり多くないという印象を受けます。他の報告もみてみましょう。

 

2020年1月広州からの報告では流行期に濃厚接触の疑いがある児童 745名に一斉に鼻咽頭からのPCR 検査を施行し10名が陽性でした。学校内で感染が広がったというより湖北省の滞在歴があったり感染ルートがはっきりとしていたようです。

 

家庭内における子供から大人への感染に関しては生後 3か月の子供をみていた両親が 1週間後に感染したという中国からの報告があります。

 

2020年 6月に入り米国テキサス州でスタッフ 894人子供 441人の感染が確認されたとの報道がありました。しかし1か所からのクラスター発生ではなく883の育児施設や学校で発生したトータルの数字です。流行期に子供を通園、登校させることの親側の心配が高まっています。

 

またイスラエルでは 2020年 5月に学校を再開してから6月以降国内で感染が急拡大しています(右図)。学校を媒介にして感染が拡大しているのではないか指摘する人もいます。またユダヤ文化ではハグ、キス、ハイタッチなど身近な人と触れ合う距離がとても近いことも影響しているのではないかという意見もあります。

 

 

感染経路として飛沫感染や接触感染が挙げられます。また子供の方が大人よりも便からのウイルス排出が持続するという報告があります。気づかない間にいつのまにか自分の顔や眼鏡を触っていることがあります。便からの経口感染ルートにも注意を要します。日頃からの手洗いが大切になってきます。

 

 

 

追補

2020年7月から10月にかけて感染が収束するまで行ったオーストラリア Victoria 州の厳格な都市封鎖政策について 

(コロナ共生時代における感染拡大防止と経済再開へ向けたロードマップ策定、ニューノーマルへの変化と形成)

 

Victoria 州はオーストラリア南東部にある州で国土のわずか 2.2% (日本本州の広さと同じ)しかありませんが、メルボルンなどの都市を擁し人口 669万人、GDP(国民総生産)の 22% を生み出しオーストラリア経済を牽引している州です。 コロナウイルス感染対策で世界で最も厳しいルールを課している場所としても知られています。

 

 

オーストラリアでは2020年7月(現地では冬にあたります)から新型コロナウイルス感染者が急増しました。特に Victoria州では他の州と比較して感染が多く、隔離等を課したにもかかわらず感染が増加していったために職場、ショッピングモール、学校など街全体を閉鎖するより厳しい方向に舵をとりました。外出は近距離の食料の買い出しと屋外の運動のみに限られ、レストラン営業はテイクアウトがデリバリーのみ許可されました。

新規感染数は8月中旬をピークに減少し10月中旬には日に数名程度に収まってきたため10月下旬から経済活動を段階的に再開する動きがみられています。新規感染に対しては局所的にそして機動的に封鎖が行われていきます。感染者が新たに出れば学校や職場は閉鎖され濃厚接触者は自宅待機になるとのことです。

感染の影響で失業率は年末には 9%以上に跳ね上がると予測されており、また財政赤字は 860憶豪ドルから 1850憶豪ドル(日本円換算14兆円弱で第二次世界大戦以来最悪)に拡大すると見込まれています。

ここで大切なことは ① 厳格な都市閉鎖 (lockdown) が感染拡大に対してどの程度効果があったのかという検証と ② 厳格な感染対策と経済維持というトレードオフ的な両者のバランスをどのようにとっていくかという問題です。

上図左側にあるように9月からのVictoria 州における新規感染者数の減少は厳格な都市封鎖が功を奏したのか?それとも季節が温かくなる中で自然とウイルスが少なくなっていったのか? 解釈が分かれます。封鎖してから感染者数がピークを超えて減少していくまで1か月強もかかっています。

2020年10月現在日本ではまだ爆発的な感染拡大はみられていませんが、これからもしも感染拡大が見られるようであればVictoria州の事例はローカルな対応策として参考になると思います。

 

 

 

子供の年齢による症状の違いとウイルス排出の特徴

子供の年齢によって症状が異なるのか?

感染したときに年齢によってウイルス排出量は変わるのか?

感染しても症状が出ない無症候性病原体保有者の割合とウイルス排出量はどうか?

についてみていきましょう。

 

SARS-CoV-2 Infections Among Children in the Biospecimens from Respiratory Virus-Exposed Kids (BRAVE Kids) Study

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.08.18.20166835v2

 

この研究は新型コロナウイルス感染者に濃厚に接触した382人の20歳以下の子供を検査した米国 North Carolina からの報告です。

年齢別の症状の違いとウイルス排出量を報告しています。

 

 

結果です。

20歳以下の 382人の濃厚接触者のうち 293名つまり 73%も感染していました。兄弟間でうつることが最も多かったようです。

293名の感染者のうち206名(70%)に症状が出て、87名(30%)が無症状でした。最も多い症状は発熱 42%、咳嗽 34%、頭痛 26%と続き、15日以内にはほとんど症状が寛解しています。

年長ほど症状が出やすくはっきりしてくる傾向が見てとれます(緑色14−20歳)。

ウイルスの排出量に関してですが、年齢によって幼くても年長でもウイルスの排出量は変わらないという結果です(上図左)。小さな子供もウイルスを同じように排出しているのですね。

また症状が出る出ないに関わらず感染していればウイルス排出量に差はありませんでした(上図右)。これも驚きです。症状がなくても症状がある人なみにウイルスを排出しているというのです。

この研究では307人のヒスパニック系の方がいて256名が感染しており、黒人や白人と比較して感染率が高く、人種間において感染率の差が出ています。

肥満者108名中88名が感染していました。

また喘息 34名中 19名が感染しています。この研究における感染の相対的リスクとしては低い方です。多くのウイルスの呼吸器感染により気管支喘息が悪化することが知られていますがこの新型コロナウイルス感染に関しては気管支喘息を持っている人は比較的感染しにくいという報告がいくつかあります。その理由として喘息などのアレルギーに関連するサイトカイン(IL-13)がウイルスが細胞に感染する際の侵入路であるACE2の発現を低下させていることが言われています。

 

 

 

小児多臓器系炎症症候群 Multisystem Inflammatory Syndrome in Children について

子供は今回のコロナウイルス感染にかかりにくい、重症化しにくい、周りにうつすことが少ないことが知られていますが、一部の少ない方で重篤化することがあります。その一つの病態が小児多臓器系炎症症候群 Multisystem Inflammatory Syndrome in Children  (MIS-C) です。

重症化がどうして一部の子供にしか起きないのかは分かっていませんが、コロナウイルスに感染したあとに続く免疫系の調節不全が MIS-C の原因であると言われています。米国や欧州と異なりアジアでは報告があまりありません。

 

 

米国CDC (the Centers for Disease Control ) によるMIS-C の診断基準は

① 20歳以下、② 4週間内に新型コロナウイルス感染にかかったこと、③24時間以上続く38度以上の発熱、④ 心、腎、肺、血液、胃腸、皮膚、神経の 2 器官以上におよぶ入院を要する重篤な病態 です。

採血では炎症系や血栓の項目で知られている CRP、 プロカルシトニン、フィブリノーゲン、Dダイマー、LDH、IL-6 の上昇を認めます。またリンパ球の減少、低アルブミン血症がみられることがあります。

子供は大人と異なり感染初期においては症状も軽度か症状なく経過し、のちに続く肺の症状も軽度であることが知られています。おそらくウイルスが人の細胞に侵入する経路であるACE2 が子供ではあまり発現していないからだと考えられています。しかしながらコロナウイルスに感染して症状が軽度であったとしてもその後に続く免疫応答において調節障害がおきれば、マクロファージが活性化されサイトカインなどの炎症物質が放出されるサイトカインストームが起きる可能性があります。

 

 

 

川崎病について

川崎病とは主に4歳以下に発症する疾患で、発症すると高熱が約1週間弱続き、体幹を中心に紅斑がみられ、頸部のリンパ節が腫れ、目が充血します。BCG注射部位も赤く腫れます。回復期には炎症を起こした手足の皮膚が落屑していきます。

川崎病による冠動脈瘤について

発症して2週間前後に約4割に心臓の冠動脈瘤を認めますが多くは自然に消退します。

冠動脈瘤が残存して狭心症や心筋梗塞を起こさないかどうかが重要になってきますが、免疫を助けるガンマグロブリン製剤投与の治療を行うようになり進行例は約1割へ少なくなりました。その際の瘤の大きさが8㎜以上あると瘤が自然消退することなく残存して、狭心症や心筋梗塞へ進展するハイリスク要因と考えられています。

 

 

川崎病の原因

川崎病の原因に関しては詳細が分かっていません。

2014年に台湾から発表された論文ではコロナウイルスだけでなく、エンテロウイルス、ライノウイルス、アデノウイルスなどのウイルス感染の関与も指摘されています。

感染以外では遺伝子(第6染色体短腕に存在するHLAのある特定の遺伝子型)、ACE酵素(これは別項にも触れていますがコロナウイルスがかき乱すレニンアンギオテンシン系に関与する酵素)、自己免疫疾患(守るはずの自分の体を攻撃してしまうSLEループス疾患)なども原因として報告されています。

 

 

 

小児多臓器系炎症症候群における小児のコロナウイルス 感染症と川崎病のオーバーラップと相違について

2020年3月から5月の間に英国における 8つの病院に入院した小児多臓器系炎症症候群の報告を紹介します。

 

Clinical Characteristics of 58 Children With a Pediatric Inflammatory Multisystem Syndrome Temporally Associated With SARS-CoV-2

DOI: 10.1001/jama.2020.10369

 

 

この論文では小児炎症性多臓器症候群を来たした 58名のうち 45名がコロナウイルス感染症からのものでした。川崎病は13名いました。うち8名はコロナウイルス 感染症と川崎病の両方の診断基準を満たしていました。コロナウイルス 感染による小児多臓器系炎症症候群と川崎病は全くイコールではない、しかしオーバーラップする部分も見えてきています。

 

血圧が急速に下がり重篤な状態に陥るショックもそれぞれ半数近くみられています。冠動脈瘤形成もコロナウイルス 感染 45名中 6名にみられています。発症年齢は小児多臓器系炎症症候群の方が従来報告での川崎病と比べると高いです。これはコロナウイルス 感染は年齢とともにコロナウイルス の侵入経路であるACE2 発現が上昇するために10歳未満は発症しにくいことが分かっており(上図右下)、小児多臓器系炎症症候群の78% を占めるコロナウイルス群が発症年齢を押し上げていると推測されます。

 

日本において報告された小児の新型コロナウイルス患者さんはいずれも軽症 であり、欧米で報告されているような川崎病類似の重症例や川崎病との合併例は今のところ 確認されていません。小児多臓器系炎症症候群における川崎病の診断基準を満たすアジア人は確かに 0名です(上図左下表赤丸)。どうして日本人の子供に新型コロナウイルス感染の重症者がでないのか、川崎病との合併例がいないのかそのメカニズムの解明が待たれます。

 

 

 

米国ニューヨーク州からの小児多臓器系炎症症候群の報告

小児多臓器系炎症症候群 (MIS-C) は20歳以下に起きる疾患です。2020年春における米国ニューヨーク州からの報告を見てみましょう。

Multisystem Inflammatory Syndrome in Children in New York State

DOI: 10.1056/NEJMoa2021756

 

 

小児多臓器系炎症症候群と診断されたのは確定 95名と疑い 4名です。内訳は男性 53名、女性 46名で、0−5歳 31名、6−12歳 42名、13−20歳 26名です。

発生を人口比でみると20歳以下の人口10万人あたり新型コロナウイルス感染症は322人で小児多臓器系炎症症候群は2名です。

症状に関しては皮膚症状は幼少ほど多く 0-5 歳に87.1% にみられています。消化器症状は年齢通してあまり変わらず8割前後です。川崎病は 0-5歳に48.1% みられているのに対して13歳以上は11.5% と少ないです。心筋炎は逆に13歳以上の73.1% に認められています(上図右上)。

流行のピークをみると全体の流行のピークより約1ヶ月遅れてきています(上図右下)。2020年8月これから本格的な流行が懸念される日本では今後子供の新型コロナウイルス感染症と小児多臓器系炎症症候群に対して警戒が必要です。

 

 

 

ブラジルの小児集中治療室からの報告(2020年 3−5 月)

2020年8月現在ブラジルでは感染者数が320万人、死亡者数10万人を超えてきている状況です。ブラジルでの感染が始まった 3月から 5月にかけて小児集中治療室からの報告がありましたので紹介します。ブラジルは日本のちょうど地球の裏側に位置し 4月前後は気候が次第に寒くなる日本の秋に相当する時期になります。

Pediatric patients with COVID-19 admitted to intensive care units in Brazil: a prospective multicenter study

DOI: 10.1016/j.jped.2020.07.002

この論文では 3月から 5月にかけて新型コロナウイルスで小児集中治療室に入院した 79名を調べています。

年齢は 1ヶ月から19歳まで中央値は 4歳です。男性 43名、女性 36名です。

併存症を32名が持っており、非進行性脳症などの神経筋疾患 9名、慢性呼吸器疾患 6名、白血病などの血液腫瘍疾患 6名、先天性心疾患 6名、その他に低栄養、糖尿病、未熟児、慢性肝臓病、肥満が含まれています。

小児多臓器系炎症症候群が 10名に見られており低酸素血症、頻呼吸、衰弱、呻き声、血圧低下などが認められました。

人工呼吸器になるリスクを解析したところ年齢、性別、人種ではなく、併存症を持っていることが最も関与しているという結果でした(上図右赤線)。

この論文では79名の大規模でない検討でしたが、これから子供のコロナウイルス重症化のメカニズムに関していろいろな事が分かってくると思います。これから秋に向かう日本でさらに感染が拡大しないことを願っています。

 

 

 

21歳未満のコロナウイルス感染死亡に関する米国からの報告 (2020年2月-6月)

一般的に子供のコロナウイルス感染症は大人に比べて症状が軽いことが多いとされていますが、米国では2020年2月から6月末にかけて21歳未満の121名の尊い若い命がコロナウイルス感染症によって奪われました。

米国疾病予防管理センター(CDC)に報告された21歳未満のコロナウイルス死亡に関する論文を紹介します。

 

SARS-CoV-2–Associated Deaths Among Persons Aged <21 Years —

United States, February 12–July 31, 2020

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6937e4-H.pdf

 

 

米国では2020年2月12日から6月30日まで約40万人弱の21歳未満の方がコロナウイルスに感染しました。そのうち121名が死亡し、うち15名が上述しています小児多臓器系炎症症候群(MIS-C)の基準を満たしていました。

お亡くなりになった121名のうち 1歳未満が 12名、10歳以上が 85名でした。性別は男性が 76名で 63%を占めています。人種では 45%がヒスパニック系で、30%が黒人種、14%が白人種でした。アジア人種は 5名 4%でした。

生来健康で病気を持っていない方が30名で、91名(75%)は喘息、肥満、神経疾患、心臓疾患などの何らかの病気を持っていました

症状が出てから入院するまでの平均日数は 3日(1-7日)で、入院してから死亡するまでの平均は 8日(4-21.5日)でした。

いくら子供は症状が軽いといっても、もし子供が感染したらそのご家族やコミュニティーへ感染を広げる媒介者となりうるリスクを知っておかなければなりません。それ以上にどうしたら子供を重症化させないようにするかが重要であり予防策や治療方法が早く確立されていくことを心から願っています。

 

 

 

米国 サマーキャンプでの子供の集団感染に関して

新型コロナウイルス 感染が流行する中で比較的安全とされていたアウトドアキャンプにおいて集団感染が起きました。さらに驚くことに今までの報告と異なり多数の子供が感染しています。2020年6月に起きた米国 Georgia 州サマーキャンプでの集団発生の報告を見てみましょう。

SARS-CoV-2 Transmission and Infection Among Attendees of an Overnight Camp — Georgia, June 2020

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6931e1-H.pdf

 

 

サマーキャンプの参加者は全員キャンプ場に来る12日以内に新型コロナウイルスの検査を行い陰性を確認することが義務付けられていました。参加者総数 597名 で最大26名泊まれるキャンプ小屋で寝食を共にし、アウトドアやインドアのアクティビティを行っていました。思いっきり歌を歌うことも含まれていたとのことです。

2日目の夜に10代のスタッフの一人が寒気を感じ翌日キャンプ場から帰りました。その方が翌日に新型コロナウイルス に感染していることがわかり急遽このサマーキャンプは解散となりました。

その後の検査で 260名の陽性者が確認されました。なんと感染率 44%という高さです。参加者全員を検査できていないので実際の数字はもっと高いとも言われています。年齢の内訳ですが 6−10 歳の 100人中 51人の感染が確認されました。感染率 51%に及びます。今までの学校内感染の報告からは考えられない数字です。子供は大人と同じように感染するということが示されました。ただし子供がどれだけの感染力を持っているかまではこの報告からは分かりません。大人から子供に感染したのかもしれないし、子供間で感染したのかもしれません。家に帰って感染した子供から家族や周りの人たちにどのくらい感染を拡大させるかは大事な問題です。

感染がここまで広がった背景に、スタッフはマスク着用していましたが子供にはあまり厳しく強要しなかったこと、屋内の窓の換気を十分行わなかったことが挙げられています。

全員 PCR 検査陰性で臨んだサマーキャンプで、一人の10代のスタッフが症状が出る前の時期において2日間一緒に過ごしただけであっという間に260名を感染させたこのウイルスの感染力にあらためて驚かされるとともに感染予防の難しさを痛感させられます。

キャンプから帰って家庭内への二次感染や重症者が出ないことを願うばかりです。

 

 

 

学校を閉鎖するか再開するか議論されています。子供たちの健康を守っていくために、親の立場からの意見、教育に携わる方々の立場からの意見と科学的なデータ、地域感染状況を踏まえて総合的に判断していくことになると思います。

 

 

文責 植村 健 http://www.koseikai-uemura.jp/

 

 

下記もご関心がありましたらご参照ください。

 

http://ko-island.yokatoko.com/pr/uemura/2020/03/01/新型コロナウイルスについて%ef%bc%882020年2月%ef%bc%89%e3%80%80/

 

http://ko-island.yokatoko.com/pr/uemura/2020/06/28/コロナウイルス重症化と血液型について/

 

 

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