増加する慢性腎臓病にどう対応していくか

 

腎臓の役割

みなさまも透析という言葉を耳にしたことあるかと思います。腎臓は体内の不要なものを尿に排出して捨てています。その腎臓の機能が低下していくと蛋白尿が出たり高血圧になったり貧血が出現することがあります。さらに腎機能低下が進行すると体内に不要な物質が溜まってきて嘔気、むくみ、呼吸困難といった尿毒症症状が出現します。多くの場合とくに高齢であればあるほど腎機能は一旦悪化すると改善することが難しくなり徐々に進行していく不可逆性であることが多いです。透析になると多くの時間が制約され、医療費もかさむためいかに透析を回避していくかが大切だと言われています。特定健康診断で採血での血清クレアチニンや eGFR(推定糸球体濾過量)を測定するのもいかに慢性腎臓病を早期に発見し透析を回避する狙いがあります。

 

透析に至る病因と新たな知見

日本透析医学会がまとめた2014年における透析導入の疾患内訳は1.糖尿病性腎症、2.慢性糸球体腎炎、3.腎硬化症の順番となっています。日本で透析をされている患者数は約31万に昇っています。


 

2009年にJACC (Journal of American College of Cardiology)という医学雑誌に腎機能悪化が静脈のうっ血に関連しているとの論文が発表されました。 すなわち心臓に返っていく静脈の中の血液が戻りにくくなり溜まり静脈圧が高まることと腎機能悪化が関連しているという論旨です。 この論文をきっかけに世界中で静脈うっ血と腎機能の関連について議論されるようになりました。


 

 

いかに腎臓を守っていくか

慢性腎臓病の定義は蛋白尿もしくは尿アルブミン陽性、あるいは糸球体濾過量(Glomerular Filtration Rate; GFR)が 60ml/分/1.73m2 未満を満たすことです。 健康診断からのデータから日本において慢性腎臓病はおよそ1,330 万人いると推測され、これは成人の7人に1人が慢性腎臓病であり非常に多いことが分かってきました。 また腎機能は加齢と共に低下していくことも知られています。

腎臓を守っていくためには極度の脱水に気を付けること、血圧をコントロールすること、腎障害をもたらす薬剤(抗生剤や痛み止めなど)に注意すること、過度の塩分摂取を控えることなどが挙げられます。食事療法に関しては蛋白の摂取制限 0.8-1.0 g/kg/日が腎臓単独に対しては良いものの高齢者に対しては低栄養やサルコペニアにつながりかねず、腎機能悪化と栄養状態を鑑み個人個人に則した対応が望まれます。

 

当院からの研究報告

平成29年8月に行われた日本内科学会九州地方会において当院から腎不全と心不全の関連について発表しました。腎うっ血の病態に迫り、腎うっ血を改善することで腎保護につながる可能性を超音波エコー検査のデータをもとに問うた発表でした。 いかにこれから腎臓を守っていくかはとても大切なテーマと捉えており、特に高齢者や心不全をお持ちの患者様に最良の医療を患者様やご家族と話しながら提供していきたいと考えています。


 

文責 植村 健 http://www.koseikai-uemura.jp/

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